要点3行

  • 米連邦捜査局(FBI)は、暗号資産交換大手バイナンスから約63億ドル相当が盗まれた事件に、北朝鮮が関与していると発表しました。
  • 関わったのは北朝鮮のハッカー集団「トレーダートレーター(TraderTraitor)」だとしています。
  • バイナンスは、盗まれた分の約9割を会社のお金で穴埋めしたと発表しています。

何が起きたか

FBIは米国時間10月31日、バイナンスから暗号資産が盗まれた事件について、北朝鮮のハッカー集団が関わったと発表しました。被害は約63億ドル相当で、日本円ではおよそ9900億円(時事・テレ東の換算。AFPは約9500億円)。暗号資産の被害として、過去最大規模とみられています。

FBIによると、この集団は盗んだ資産を暗号資産のイーサリアムなどに換えていて、資金洗浄(お金の出どころを分からなくすること)がさらに続くとみています。そのためFBIは、集団が使う暗号資産のアドレス(口座番号のようなもの)を公開し、ほかの事業者に、そのアドレスとの取引をしないよう呼びかけました。

背景(なぜ今これが起きたのか)

流出は、バイナンスが10月29日(日本時間30日)に公表していました。会社は入出金を一時止め、30日には共同CEOのリチャード・テン氏が、乗っ取られたノートパソコンと、痕跡を消す悪意あるソフトが使われた「複雑な攻撃」だったと説明しています(NBC・Al Jazeera)。時事によると、侵入の経路は複数あったことも分かりました。

今回は、アメリカの捜査機関が関わった集団を名指しした形です。AFPとAl Jazeeraによると、同じ集団は前の年の2月、暗号資産交換業者Bybitから15億ドルが盗まれた事件にも関わったとされています。なお、北朝鮮側の反応は、確認した報道には書かれていません。

バイナンスは、損失は利用者ではなく会社が負うとし、約9割を穴埋めしたうえで残りも補う考えを示しています。出金は11月1日(米国時間)に再開する予定としていましたが、実際に再開したかは、編集部では確認できていません。

あなたへの影響

暗号資産を持っている人は「どこに預けているか」を見直すきっかけに 交換業者に預けた暗号資産は、ふだんは会社が管理しています。今回のように会社が攻撃されると、入出金が止まり、しばらく自分のお金を動かせなくなることがあります。自分が使っている交換業者が、トラブルのときにどんな対応をすると説明しているか、一度公式サイトで確かめておくと安心です。

「補償」の説明は、会社の公式発表で確かめる 今回、バイナンスは会社が穴埋めするとしています。ただ、これは会社の説明です。大きな事件のあとは、SNSなどで真偽の分からない情報が出回ることもありえます。手続きや補償の話は、会社の公式の発表で確かめるのが確実です。

持っていない人にも、職場のセキュリティーの話として テン氏の説明では、攻撃には「乗っ取られたノートパソコン」が使われました。知らない添付ファイルを開かない、ソフトを更新しておく、といった職場のふだんの心がけを見直すきっかけになりそうです。

今後の注目点

  • バイナンスの出金が予定どおり再開されたか
  • 盗まれた資産の行方と、資金洗浄を止める動き
  • 残りの約1割の穴埋めが、どのように進むか