要点3行

  • 国際研究チームは28日、英医学誌ランセットに報告書を発表し、2023年に暑さが原因で亡くなった人は世界で推計約71万人と、過去最多だったとしました。
  • 研究チームは、このうち7割超(71.5%)が、人間の活動による地球温暖化がなければ避けられたと分析しています。
  • 2023年の暑さによる死者は、マラリアやエイズウイルス(HIV)による死者を上回りました。

何が起きたか

報じられた数字を並べると、暑さによる死者は増えています。パリ協定が発効する前の10年間(2006〜15年)の年平均は約40万人(読売新聞は39万8400人)、2016〜23年の年平均は約54万800人でした。2023年の約71万人は、どちらも大きく上回ります。

感染症と比べても多い数です。朝日新聞は、マラリアによる死者を約59万7000人、エイズウイルスによる死者を約63万人と伝えています。

朝日新聞によると、分析は、実際の温暖化した世界と、人間が温室効果ガスを出さなかったと仮定した世界とで、死者の数を比べる方法で行いました。読売新聞によると、報告書は世界の71機関、計146人の専門家がまとめました。

時事通信によると、研究の責任者で英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)のマリーナ・ロマネロ教授は「気候変動は世界的な健康の緊急事態となっている」と強調しました。

背景(なぜ今これが起きたのか)

11月9日から、トルコで国連の気候変動の会議(COP31)が開かれる予定です。COPは、温暖化対策を各国で話し合う国連の会議です。パリ協定は、世界の国々が温暖化対策に取り組むための国際的な約束です。今回の発表は会議を前にしたもので、各国の温暖化対策の議論に影響するとみられます。

あなたへの影響

数字の読み方に気をつける 約71万人は2023年1年分の「推計」で、「7割超が温暖化による」は研究チームの「分析」です。また、朝日新聞が伝えた「約300万人」は2016〜23年の8年間の合計(うち68%が気候変動による)で、1年分の数字ではありません。SNSなどで数字だけが流れてきたら、何年の、何の数字かを確かめると誤解を防げます。

働く人にも関わる 共同通信によると、2025年には暑さによる労働生産性の低下で、世界経済に約1兆700億ドル(約168兆円)の損失が出ました(71万人とは別の年の数字です)。通勤や外回り、屋外の仕事が多い人にとって、暑さは体だけでなく仕事の効率にも関わる問題です。来年の夏に向けて、職場で時差出勤やこまめな休憩などの暑さ対策を話し合うきっかけにしてもよさそうです。

日本の数字は今回の報道にない 日本の夏も暑さが身近な問題ですが、日本で暑さにより亡くなった人の数は、今回確認した報道には含まれていません。

今後の注目点

  • 11月9日からトルコで開かれるCOP31で、温暖化対策がどう話し合われるか
  • 今回の報告書の結果が、各国の対策にどう反映されるか